栗東民報

2013年度
予算編成にあたっての要求書を提出 


                  2013年1月15日
栗東市長 野村昌弘 様
教育長  森本 明 様

               日本共産党栗東市委員会
                   委員長 國松清太郎
               日本共産党栗東市会議員団 
                      太田浩美
                      大西時子


 2013年度 栗東市予算編成にあたっての要求書

平素は市民福祉の向上と安心安全のまちづくりにご尽力いただきありがとうございます。
2011年3月11日に発生した東日本大震災および福島原発事故は、大きな被害をもたらし、いまも住居や生活に支援が必要な状態が続いています。新政権は、こうした対策にもっと力を入れ、一日も早い復興に全力で取り組むことが求められます。

同時に、原子力発電の危険性が明らかになり、脱原発を求める声は一段と高まり、全国各地で原子力から太陽光や水力などを利用した自然エネルギーへの転換の動きが活発になっています。

12月に行なわれた総選挙では、選挙公約の大半を反故にし、自民・公明・民主の3党合意で消費税増税を決めた民主党政権は退却となりました。変わって、自民党と公明党の連立政権による安倍内閣が発足しました。安倍首相は、原発の新増設を進める姿勢を明らかにし、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加にも積極的な姿勢です。日本農業新聞が行なった同紙モニター対象の意識調査で、TPP交渉参加反対が75.9%を占めており、いずれも国民の願いからは逆行しています。

憲法問題では、集団的自衛権の行使や国防軍創設に道を開く憲法改正への動きを強めています。これは、日本が米国の軍事戦略に基づく戦争に全面参加する道に踏み出すことにつながります。また、経済対策では「強い経済」の再生を掲げ、財界と一体の「経済財政諮問会議」を復活させ、大企業中心の再生を行なおうとしています。日本の経済は国民所得が落ち込み、消費が低迷しているために、成長が止まったままとなっています。国民所得を増やし、消費を活性化させてこそ経済が再生します。しかし、安倍内閣の大企業中心の経済政策では、格差や貧困は深刻化しても、経済が再生することはありえません。国民の所得を増やす経済政策への転換が必要です。

市政運営において、財政健全化を目的としてH20年度から『財プロ』『新・集中改革プラン』等が実施されました。H20〜23年度の4年間における市民への負担増は21億4900万円にものぼります。

市民に多大な犠牲を強いながら、その一方で返済期日が過ぎたたばこ業者への貸付金は当初の契約どおりに回収できていません。企業へは奨励金を交付し、『後継プラン』には60億円にものぼる税金を投入するなど、開発事業や企業への優遇措置に対する改革のメスは、全く入れられていません。

土地開発公社経営検討委員会から、今後のあり方として『3セク債』の活用による公社解散が最善の策であるとの報告書が提出されました。これを受け、市は160億円・30年償還で『3セク債』を活用されようとしていますが、この措置はこれまでの無謀な大型開発によるツケや利権の後始末を、全く責任のない市民に肩代わりさせようとするものです。

たばこ税収の落ち込み、土地開発公社の巨額の借金残高やたばこ業者への貸付金未回収問題などによる財政悪化は、開発優先・企業優遇型の市政運営の失敗によるものです。

地方自治法第1条2項は「地方自治体の本来の役割は住民福祉の増進」と定めています。開発優先・企業優遇型の市政運営を、市民の暮らし・福祉を守ることを最優先に転換し、財政の健全化を図ることが求められます。そうした視点から2013年度における予算編成に対し、下記の事項を要求いたします。

ご検討いただき、2013年2月10日までに文書で回答いただきますようお願いいたします。

1、財政健全化のために

(1)企業誘致への奨励措置は、危機的な市の財政をさらに圧迫する要因です。「栗東市工場等誘致に関する条例」は廃止し、今後企業への奨励金の交付はやめられたい。
あわせて、実施中の奨励の交付もやめられるか、財政が好転するまでの間凍結・延期をされるよう求めます。

(2)鰍sSRと鰍bSRへの貸付金9億円の回収に向けた具体的対応策と目処を示されたい。財政厳しい折、早期に回収し、市民福祉の向上に有効活用されたい。

(3)『3セク債』の活用には、できる限りの債務圧縮と利率低減を図り、市民負担の軽減に努められたい。『3セク債』による返済計画、市民生活への影響等を明らかにし、財政健全化の見通しを市民にわかりやすく公表されたい。


2、医療・福祉の充実のために

(1)本市の医療給付費は県内で19市町の中で16番目と低いにもかかわらず、国民健康保険税は一番高い税額となっています。所得の13〜18%を占め、所得が低い世帯が多数を占める国保加入者にとって大変重い負担となり、暮らしを圧迫しています。ただちに、払える税額に引き下げられたい。

(2)本市の国民健康保険制度によるH24年度当初の資格証明書交付数は208で、H23年度の183から増加し、周辺市比較においてもかなり多い数となっています。保険証がなければ、医療にかかれません。訪問などにより、必ず面談での納税相談・生活相談等を行い、全ての加入者に保険証を発行されるよう求めます。

(3)所得によって医療を受ける権利を制限されることのないよう、国保法第44条の窓口減免制度を積極的に活用し、社会保障制度としての国民健康保険の運営に万全を期されたい。

(4)高齢者を年齢で差別する後期高齢者医療制度は、すみやかに廃止されるよう国に働きかけられたい。高齢者の受診抑制はただちに命に関わります。資格証明書や短期保険証の交付実態は。資格証明書や短期保険証は交付されないよう求めます。

(5)介護保険料は月額4900円で、制度発足時の2700円から約1.8倍に上がっています。保険料の引き下げを求めます。

(6)H24年4月以降訪問介護の時間が短縮されたケースが全国的に多発し、介護に支障が出ていると報告されている。本市で、訪問による介護時間が短縮されたケースは、どの程度あるのか。これまで通り支障なく介護が受けられるよう、市として対応されたい。

(7)市内の施設入所への待機者が一向に改善されていません。このままでは増える一方です。解消のための方策を講じられたい。

(8)本市の高齢者へのインフルエンザ予防接種の自己負担2000円は、周辺市(草津市・守山市1000円、野洲市1300円)比較でも高すぎるとの声が強く寄せられています。負担軽減を求めます。

(9)高齢者・障害者への路線バス等回数券補助制度を再開されたい。市は、目的を果たしたため見直したとのことですが、バス利用者は依然と減少傾向です。高齢者・障害者の外出や健康増進だけでなく、くりちゃんバス等の公共交通の利用者増、公共施設利用の促進など総合的な効果が期待できるのではないか。

(10)養護学校高等部卒業生の受け入れ先が、年々深刻な課題となっています通所施設の充実とともに、障がい者(児)の雇用拡大に努められたい。現在の市内企業における障害者雇用率はどの程度か、明らかにされたい。

(11)障害者のグループホーム・ケアホームは圏内でも不足しており、圏内での課題として取り組むと市は回答されています。これまでの具体的な動きと、今後の施設整備促進に対する積極的な支援策を明らかにされたい。

(12)発達支援において、社会・障がい福祉課との連携した中学校卒業後の支援充実に取り組むとのことですが、どのような体制での取り組まれているのでしょうか。今後の取り組みとして、就労期までの支援体制を充実されたい。




3、子育て支援の充実のために

(1)就学前の子どもの医療費で自己負担金があるのは本市だけです。県内の他市並みに、せめて就学前までの医療費は無料とされるよう求めます。

(2)妊婦健診、ならびに子宮頸がん予防・ヒブ・小児肺炎球菌の3ワクチンの公費負担は、H25年度以降も同様に継続されたい。
あわせて、国に補助金の継続と3ワクチンの定期接種化を求められたい。

(3)特定健診の受診率が低迷しています。受診率の向上は病気の早期発見になり、医療費の抑制にもつながります。受診率向上のために、1500円の自己負担金の軽減を求めます。

(4)保育園の待機児童の解消は市長の選挙公約です。公約実現と子どもの豊かな育ちを保障するためにも、これまで以上に大幅に正規保育士を増員されたい。あわせて臨時保育士確保のための具体的方策を示されたい。

(5)待機児童の解消を目的としH22年4月から大宝保育園が民営化されました。しかし、H22年度における待機児童数は68名、H23年度は89名と21名増加し、待機児童解消につながっていません。待機児童が解消されない公立保育園の民営化計画は見直されるべきです。

(6)児童数が増加しており、学童保育所の拡充が必要です。増設・新設を計画的に進められたい。同時に、小学1年生〜6年生の保育を保障されたい。

(7)学童保育の保育料が近隣市の中でも一番高く、保護者から引き下げが求められています。保育料引き下げと収入に応じた減額免除制度の充実を求めます。

(8)日常的に起こりうる児童虐待の早期発見・早期対応のため、常に学校や保健センター、県子ども家庭相談センター、医療機関などの関係機関と連携し、有資格者の雇用など相談員や家庭児童相談室の支援体制の充実に努められたい。

子どもの医療費無料化が国の施策として実施されるよう、国に要請されたい。




4、教育環境の充実のために

(1)全国的に学校におけるいじめや教師による体罰が問題視され、生徒や家庭からの訴えに応えられていないとして学校や教育委員会のあり方が問われています。学校は子ども同士・先生と子どもが触れ合い、学びながら成長するところです。本市の実態はどうなのか。あらためて実態調査を行うとともに、どこでも起こりうることという認識のもと、早期に見つけ・すぐに対応できる体制づくりを整えられたい。

(2)暑さ対策として、保育園・幼稚園・幼児園・小中学校施設へのエアコンを早期に設置されたい。いつごろ設置されるのか、具体的年度を明らかにされたい。

(3)先延ばしになっている栗東西中学校区の生徒増対策を早期に示されたい。栗東中学校区においても生徒数増となっていることから、市内全域を視野に入れた第4中学校の新設で、西中学校の大規模化を解消されたい。

(4)小中学校・保育園・幼稚園・幼児園における非構造部材の耐震対策を早期に実施されたい。

(5)国においてH23年度から小中学校における30〜35人学級が計画的に実施されています。少人数学級制は、きめ細やかな指導ができ、不登校の減少や増加傾向にある特別支援教育の必要な児童生徒の指導にも効果があります。県に対し、国の計画の前倒しで少人数学級制を早期に実現されるよう要請されたい。

(6)就学援助への国庫負担の充実を国に要請するとともに、市としても充実に努められたい。

(7)通学路の危険箇所の点検は継続的に行い、危険箇所の改善は速やかに実施するとともに、常に安全確保に努められたい。

(8)学校給食センターの建て替えにあたり、義務教育である中学校の給食もあわせて実施されたい。保育園・幼稚園・学校給食の食材に、地元農産物の利用促進を図られたい。
 食材における放射線量をチエックされたい(甲賀市・高島市で実施されている)。

(9)一人ひとりの人権と、思想・信条・良心の自由を重視した教育が重要です。教職員や児童生徒の内心の自由を踏みにじり、教育現場を国家統制の道具とする「日の丸・君が代」の押し付けは行なわないよう努められたい。

(10)野洲養護学校の大規模化対策として、増築案が示されています。しかし、増築に告ぐ増築で、保護者からは反対の声が強く、養護学校の新設等の抜本対策を求める個人請願が県教育委員会に提出されています。安心安全な教育環境のために、市としても増築案の撤回と大規模化の抜本対策を県と県教育委員会に要請されたい。





5、地域経済活性化のために

(1)中小企業の振興のために、地域経済の活性化・市内中小業者の仕事確保や雇用創出に大きな効果が認められる「住宅リフォーム補助制度」の実施を前向きに検討されたい。

(2)農業の振興と安心安全な食料提供のために、TPPへの交渉参加はやめるよう国に要請されたい。同時に、強制減反をやめ、国内の食料自給率の向上を図るよう国に求められたい。

(3)農業で生活ができるよう生産者米価を60キログラム当18,000円以上の価格保障と所得補償の実現を、国に求められたい。麦・大豆・等への価格保障の充実を図られたい。

(4)深刻化する猪・鹿など獣被害に対し、県主導による広域的な有害獣対策の確立を求めるとともに、市独自の対策を強化されたい。

(5)植栽した杉・桧・松などが、外国材の輸入によって採算が取れないため、枝打ちや間伐作業がおろそかになっています。林業労働者の雇用や森林経営のための作業道の整備を進められたい。そのための補助金の充実を国に求められたい。
 

6、安心・安全のまちづくりのために

(1)旧RD産廃処分場の2次対策において、地下水汚染の拡散や飲み水への汚染を防ぐために、高濃度の表層ガスが検出された木くず焼却炉周辺を20〜30m程度深く掘削し、VOC類の原因物を速やかに掘削除去されたい。将来的に禍根を残さないよう有害違法廃棄物は全て撤去されたい。

(2)原発ゼロを目指して、太陽光や水力などの再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組まれたい。

(3)財プロによって、H22年7月からコミセン、文化・体育施設など、公共施設の利用料減免制度が大幅に削減されました。市民活動団体にとっては、多大な負担増となり、今後の活動の存続が深刻化しています。営利を伴わない市民団体の利用料減免制度を以前のように充実されたい。

(4)同和対策事業に関わる「地域改善対策特別措置法」が失効して11年が経ちます。同和地域における固定資産税の減免や就修学奨励資金給付等の個人施策をただちに廃止されたい。周辺市の状況は、H27年度を目途に個人施策はほぼ終結となります。廃止の方向性が具体的になっていないのは本市だけです。同和対策事業や同和教育は廃止を基本に、人権問題のひとつに位置づけ、一般施策の中で取り組まれたい。

(5)都市計画税を廃止されたい。

(6)『財プロ』・『新・集中改革プラン』等で市民負担増が続いている。この上に、水道・下水道料金の引き上げは、市民生活への影響があまりにも大きい。当分の間据え置くよう求めます。

(7)防災に関して、H25年3月に原子力災害対策編の策定などの防災計画を見直し、原発事故を想定した放射能汚染に関わるヨウ素材・防護服などの必要備品を整備するとのことですが、その進捗状況は。早期に放射能汚染に関わる体制を整えられたい。

(8)消防車や救急車が進入できない道路はどの程度あるのか。計画的に、それらの改善を図られたい。

(9)H24年度に橋梁の耐震診断を実施し、緊急性の高い橋梁から改修を進めるとのことですが、H25年度以降の取り組みを明らかにされたい。見通しをもって進められたい。

(10)水害対策と交通渋滞の緩和の早期解決のために、金勝川、葉山川の平地化事業が遅れることのないよう県に要請されたい。
 金勝川平地河川化の進捗により、H26年度から県道六地蔵−草津バイパスが一部供用開始されます。交通量の増加が懸念される下戸山地域の道路、県道川辺−御園線との接続部(灰塚橋付近・十坪橋付近)等における交通安全対策に万全を期されたい。

(11)集中豪雨による中ノ井川沿いの蜂屋地域における水害の早期解決のため、中ノ井川ショートカット事業の早期完了に取り組まれたい。

(12)金勝地域における金勝川〜細川(御園橋付近〜山入・片山地域)、および細川(片山全域:神尻橋〜黒橋)の浚渫工事を実施されたい。

(13)国道8号バイパスの工事は、あくまでも地元合意を基本とし、事業を進められたい。











7、平和と民主主義をまもりぬくために

(1)憲法9条は世界の宝であり、世界への日本の公約です。平和憲法の改定に反対し、平和都市宣言の市として、積極的に平和事業に取り組まれたい。

(2)自衛隊とアメリカ軍の日米合同演習ならびにオスプレイの配備に反対し、饗庭野をアメリカ軍に使わせないよう、国・県に要請されたい。

(3)憲法25条の精神を市政に生かし、市民の福祉と暮らしの向上を中心にすえた市政運営を進められたい。